CASE 007|課長への昇進を打診された。でも、自分が進みたかったのはこの道?

りちょいすケース

35歳、メーカーの技術職。勤続10年。現在は主任。

10年間で経験を積み、現在は難しい案件を任されるほか、特定分野では部署内から相談を受ける立場になっています。

後輩への技術指導も担当し、最近では案件の割り振りや若手育成、技術投資など、部署全体の仕事について意見を求められることも増えました。

そんな中、上司から来期の課長昇進を打診されました。

課長になれば給与が上がるだけでなく、人材育成や部署の方針などにも今まで以上に関われます。

一方で、部下の評価、目標管理、予算、他部署との調整、トラブル対応、上層部への報告などが増え、現在担当している案件は徐々に後輩へ引き継ぐことになります。

本人がこれまで考えていたキャリアは、専門性をさらに高め、より難しい案件を任される技術者になることでした。

課長になって、人や組織を動かす側へ進むか。

それとも、技術者としてさらに上を目指すか。

今回は、会社から「次のポジション」を提示されたときの3つの選択肢を考えます。

このケースのポイント

課長になる魅力もある

給与や役職だけではありません。人を育てたり、案件の割り振りを変えたり、これまで自分一人では動かせなかったことに関われるようになります。

好きな実務からは離れていく

管理職になれば、部下の評価や目標管理、調整業務などが増えます。技術者として難しい案件に向き合う時間は、今より減る可能性があります。

課長打診そのものが一つの材料になる

部署を任せたいと思われるほど評価されているなら、提示された昇進を受けるだけでなく、自分が望む次の役割を会社に提案できる可能性もあります。

このケースの3つの選択肢

① 課長への昇進を受ける

技術者としての経験を生かしながら、人材育成や部署運営など、チーム全体を動かす側へ進みます。

② 専門職としての新しい役割を会社に提案する

課長を断って今の立場に残るだけではなく、専門性を伸ばしながら、より大きな役割を担うポジションを会社と相談します。

③ 専門職として評価される会社を外で探す

今の会社で専門職として上がる道を作るのが難しい場合に備えて、10年間の経験が社外ではどう評価されるのかを確認します。

「課長になる=キャリアアップ」とは限らない

今回のケースでは、課長への昇進そのものが悪いわけではありません。

これまで技術者として積み上げてきた経験を使って、人を育てたり、チーム全体の仕事を改善したりすることも、一つのキャリアです。

一方で、本人がこれまで目指してきたのは、専門性をさらに高め、難しい案件を任される技術者としての成長でした。

ここで分けて考えたいのが、「役職が上がること」と「自分が進みたい方向へ成長すること」です。

会社から昇進を提示されたからといって、それが唯一のキャリアアップとは限りません。

① 課長への昇進を受ける

課長になると、自分で担当する実務の割合は減る可能性があります。

その代わり、案件の割り振り、人材育成、目標管理、部署の方針など、これまでより広い範囲に関われるようになります。

今回の本人は、後輩の成長にうれしさを感じたり、部署の仕事の進め方について考えたりする機会も増えています。

「管理職になりたいと思ったことがない」という理由だけで、向いていないと決めるのも早いかもしれません。

確認したいのは、課長になった後に実務がどの程度残るのか。会社によっては、管理職になっても技術に関わり続けるケースがあります。

自分で成果を出す仕事から、人やチームを通じて成果を出す仕事へ。

その変化に面白さを感じられるなら、課長への昇進は十分に考えられる選択肢です。

② 専門職としての新しい役割を会社に提案する

課長にならない場合も、「昇進を断って今の主任を続ける」だけが選択肢とは限りません。

難しい案件を担当する。

若手の技術支援や育成を担う。

技術選定や業務改善にも関わる。

管理職とは違う形で、これまでより大きな役割を担う方法も考えられます。

今の会社には、そのための明確な専門職コースがありません。

ただし今回、会社は本人に課長への昇進を打診しています。

これは、「課長になれる」という情報だけではありません。

10年間の経験や実績を評価し、部署を任せられるだけの信頼があると会社が判断している、と見ることもできます。

課長を打診されるほどの評価がある今は、「自分は専門性を伸ばす方向で、さらに会社に貢献したい」と相談するタイミングにもなり得ます。

制度がないから選べないと決める前に、役割そのものを会社と話してみる。

今回のケースでは、これも一つのキャリアアップです。

③ 専門職として評価される会社を外で探す

新しい役割を提案しても、会社の制度や組織上、実現が難しいこともあります。

その場合は、すでに専門職としてのキャリアが用意されている会社を確認する方法があります。

10年間積み上げてきた経験は、社外ではどのように評価されるのか。

どんな役割を任されるのか。

待遇はどう変わるのか。

実際の求人を見ることで、「技術者として上を目指す」というキャリアがどこまで現実的なのかも見えてきます。

外を見ることと、転職を決めることは同じではありません。

比較した結果、今の会社で課長になる方が、自分のやりたいことに近いと分かる可能性もあります。

3つの選択肢を比べると

選択肢 増えるもの 確認したいこと
① 課長になる 人材育成・部署運営・意思決定への関与 実務がどこまで減るか、管理職の具体的な役割
② 新しい役割を提案する 専門性を生かした社内での新しいキャリア 役割・評価・待遇を会社と相談できるか
③ 外の会社を見る 専門職としての別のキャリアの可能性 10年間の経験が社外でどう評価されるか

このケースなら、まず何から確認する?

まずは、課長になった場合の仕事内容を具体的に確認します。

「管理職」という言葉だけでは、実務からどの程度離れるのかは分かりません。

次に、課長にならなかった場合のキャリアです。

専門職として進む道が本当にないのか。

今は制度がなくても、新しい役割や評価の仕組みを相談できないのか。

そして社内だけでは比較できないなら、外で自分の経験がどう評価されるのかも確認します。

そのうえで考えたいのが、

「これから、どんな仕事を増やしていきたいか」

自分で難しい課題を解決する時間を増やしたいのか。

人を育てる仕事を増やしたいのか。

チームや組織を動かす仕事を増やしたいのか。

役職ではなく、これから増やしたい仕事から考えると、それぞれの選択肢の意味も見えやすくなります。

会社から提示された「次」だけが、自分の選べる「次」とは限らない。

課長への昇進を打診されたことは、管理職への入口であると同時に、これまで積み上げてきた仕事が評価されているという材料でもあります。

その評価を、提示されたポジションを受けるためだけに使う必要はありません。

課長として、人や組織を動かす。

今の会社で、専門性を生かした新しい役割を提案する。

それが難しければ、すでに専門職としての道がある会社を確認する。

今回の3つは、どれもこれまでの10年間を否定する選択ではありません。

積み上げてきた経験と信頼を、これからどの方向に使うかという選択です。

役職が上がるかどうかだけではなく、「これから、どんな仕事を増やしていきたいか」から次のキャリアを考えてみてください。

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