29歳で初めて転職した30歳。
前職では給与や働き方に不満があり、 「30歳になる前に一度動いておこう」と転職を決めた。
転職後は年収が上がり、残業も減った。 一部リモート勤務もできるようになり、 条件面では前職より改善している。
ただ、一つだけ想定していなかったことがあった。
直属の上司が、かなり気分屋だった。
機嫌がいい日は普通に相談できる。 一方で機嫌が悪い日は、同じように仕事を進めても反応が変わる。
最近では仕事の進め方より先に、 「今日は話しかけても大丈夫そうか」を考えるようになった。
再び転職サイトを見ることもある。
ただ、今回は29歳のときとは少し違う。
30歳になり、まだ転職1年目。
「また転職していいのか」が、 前回より重く感じられているケースです。
このケースで見るポイント
問題なのは、
「会社」なのか「上司」なのか。
転職1年目という理由だけで、
動かない方がいいのか。
「30歳になったこと」が、
判断にどこまで影響しているか。
このケースの3つの選択肢
今回の状況から考えられる選択肢は、大きく3つあります。
気になるのは、上司の機嫌で仕事の進め方が変わること
今の上司は、いつも機嫌が悪いわけではありません。
機嫌がいい日は普通に話せて、 仕事の相談にも乗ってくれます。
「そこは任せるよ」と、 自分で進めるよう任されることもあります。
一方で、別の日には同じように進めたことに対して、 「なんで確認しなかったの?」と言われることもある。
質問への反応も日によって違います。
普通に答えてくれる日もあれば、 明らかに面倒そうな反応をされる日もある。
その結果、 「これは確認した方がいいか」より先に、 「今は話しかけても大丈夫そうか」を考えるようになっています。
上司の気分そのものより、 それによって仕事の判断基準まで揺れていることが、 今回の負担になっています。
転職によって改善したことも多い
一方で、前職から転職したこと自体を後悔しているわけではありません。
年収は上がり、 残業は減りました。
土日祝日は休みで、 一部リモート勤務もできます。
前職で不満だった条件の多くは、 今回の転職によって改善しています。
そのため、 「今の会社そのものが合わない」とは言い切れません。
給与も低い。 残業も多い。 休みも少ない。 さらに上司とも合わない。
そこまで問題が重なっていれば、 次の会社を考える判断はもう少し単純だったかもしれません。
今回は、転職によって手に入れた条件がある。
そのため、 「上司一人を理由に、もう一度会社を変えるべきか」が迷いになっています。
29歳の転職と、30歳になってからの転職
再び転職サイトを見ることはあります。
気になる求人も見つかります。
ただ、応募までは進んでいません。
前回の転職活動と比べると、 今回は少し慎重になっています。
29歳のときは、 「合わなかったら、また考えればいい」と思えていました。
30歳になった今は、
- 転職1年目で辞めたらどう見られるのか
- 次の会社も合わなかったらどうするのか
- 31歳、32歳でもう一度転職することになったらどうするのか
と、その先まで考えるようになっています。
29歳から30歳になったことで、 急に転職できなくなるわけではありません。
それでも本人にとっては、 「20代の転職」と「30代の転職」が 同じものには感じられなくなっています。
今回は、上司との関係だけでなく、 30代に入ったことで転職を慎重に考えるようになったことも、 判断を難しくしている要素です。
① 上司への対処を変えて、もう少し続ける場合
一つ目は、 今の環境をすぐに変えず、 上司との仕事の進め方を変えてみる方法です。
たとえば、 口頭で指示された内容を 後からチャットやメールで確認する。
「この認識で進めます」と、 判断の根拠を残しておく。
上司の機嫌自体を変えることはできません。
ただし、 上司の反応によって仕事の進め方まで振り回される状態を 少し減らせる可能性はあります。
あわせて確認したいのは、 上司の機嫌を必要以上に自分の問題として受け取っていないかです。
機嫌が悪そうだから必要な確認をしない。
怒られそうだから自分の判断を変える。
それが続くと、 本来の仕事ではなく「上司の機嫌」が判断基準になってしまいます。
この選択が合いそうなのは
- 今の給与や働き方をできれば維持したい
- 問題が直属の上司に集中している
- まだ転職して間もなく、状況を見る余地がある
- 仕事の進め方を変えることで負担を減らせそう
様子を見るなら、 ただ我慢する期間にはしない方がよさそうです。
何を試して、 それでも状況が変わらなければ次を考えるのか。 あらかじめ区切りを決めておくことも判断材料になります。
② 異動・配置転換の可能性を探る場合
二つ目は、 会社を辞める前に、 社内で環境だけを変えられないか確認する方法です。
今回のケースでは、 転職によって給与や働き方は改善しています。
問題の中心が「会社」ではなく「直属の上司」なのであれば、 会社ごと変える必要がない可能性もあります。
別の部署へ異動できるのか。
チーム変更の可能性はあるのか。
定期的な配置転換が行われている会社なのか。
すぐに異動希望を出さなくても、 制度や過去の事例を確認することはできます。
一方で、 転職1年目では異動対象になりにくい会社もあります。
また、相談の仕方によっては 今の上司に話が伝わる可能性もあります。
そのため、 「異動すれば解決する」と最初から決めるのではなく、 現実的に使える選択肢なのかを確認するところから始めます。
この選択が合いそうなのは
- 今の給与や働き方には大きな不満がない
- 直属の上司が変われば続けられそう
- 社内に複数の部署やチームがある
- 会社そのものから離れたいわけではない
「会社を辞めること」と 「今の上司の下から離れること」は別です。
問題が人間関係に集中しているなら、 その部分だけを変えられないか確認する余地があります。
③ 転職1年目でも、もう一度外を見る場合
三つ目は、 もう一度転職市場を確認する方法です。
ここでの「外を見る」は、 すぐに退職を決めることではありません。
今の会社に在籍したまま、 求人を確認することはできます。
- 今と同程度の年収を維持できる求人はあるか
- 一部リモートなど、現在の働き方を維持できるか
- 残業時間や休日条件はどうか
- 30歳・転職1年目で応募できる求人はどのくらいあるか
こうした条件を実際に確認したうえで、 今の会社と比較します。
外を見た結果、 「今の条件は思っていたよりいい」と分かる可能性もあります。
逆に、 同じような条件で環境を変えられる求人が見つかるかもしれません。
どちらに転んでも、 頭の中だけで短期離職を心配している状態より、 判断材料は増えます。
この選択が合いそうなのは
- 上司の機嫌を読むことが日常的な負担になっている
- 今後も状況が変わる見込みを感じにくい
- 社内異動が難しそう
- 30歳・転職1年目の市場評価を実際に確認したい
「30歳だから」「転職1年目だから」と考えるだけでは、 実際にどの程度選択肢があるのかは分かりません。
年齢や勤続年数への不安は、 実際の求人や選考条件を見てから判断しても遅くありません。
3つの選択肢を並べてみる
| 選択肢 | 得られるもの | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 上司への対処を変える | 今の条件を維持したまま、 仕事上の負担を減らせる可能性がある | 「もう少し様子を見る」が 無期限の我慢にならないようにする |
| 異動・配置転換を探る | 会社を辞めずに、 直属の上司から離れられる可能性がある | 転職1年目では 希望どおりに動けない場合もある |
| もう一度外を見る | 今の条件と外の選択肢を、 実際の求人で比較できる | 上司から離れることだけを 次の会社選びの基準にしない |
このケースなら、まず何から確認する?
このケースでは、 「30歳で転職1年目だから、しばらく我慢する」 と最初から決める必要はなさそうです。
まず確認したいのは、 今感じている負担がどこから来ているのかです。
- 負担になっているのは直属の上司とのやり取りだけなのか
- 部署や上司が変われば続けられそうなのか
- 会社全体にも似た雰囲気があるのか
- 今の状態があと半年続いた場合、どの程度負担になるのか
そのうえで、 今の会社に在籍しながら外の求人を確認する。
異動や配置転換が使える制度なのかも調べる。
上司との仕事の進め方も少し変えてみる。
これらは、同時に確認できます。
どれか一つを選んでから動く必要はありません。
30歳になって転職が前より重く感じるのであれば、 なおさら退職という大きな決断から始める必要はありません。
まずは選べるものを確認する。
その結果を見てから、 残るか、異動するか、転職するかを考えるケースです。
CASE 004
30歳になったから慎重になる。それ自体は悪くない。
29歳と30歳の間に、 転職できるかどうかを分ける明確な線があるわけではありません。
ただ、自分の中で年齢の意味が変わることはあります。
29歳では、 「まず動いてみよう」と考えられた。
30歳になった今は、 「次も合わなかったらどうするか」まで考えるようになった。
それは、単純に動けなくなったというより、 一度転職を経験したことで考える材料が増えたとも言えます。
今回も、 上司が気分屋だからすぐ辞める必要はありません。
一方で、 「まだ転職1年目だから」という理由だけで残る必要もありません。
上司への対処を変える。
社内で環境を変えられないか調べる。
外にはどんな選択肢があるのか確認する。
その3つを見てからでも、 次の判断はできます。
30代になって最初の「りちょいす」は、 転職するかどうかを決めることではなく、 次に選べるものを確認するところから始めてもよさそうです。

