CASE 005|会社ではAI禁止。同業他社は使っている。このままで大丈夫?

りちょいすケース

32歳、営業企画。勤続4年。

提案資料の作成、競合調査、会議の議事録、メールの文章作成など、 日常的に「調べる・整理する・書く」仕事をしている。

個人では生成AIを使うこともあり、 情報整理や文章のたたき台づくりで便利さを感じている。

ただ、会社では生成AIの業務利用が禁止されている。

情報漏洩や誤った情報を利用するリスクを考えれば、 会社が慎重になる理由も分からなくはない。

ところが最近、取引先から 「議事録の下書きはAIで作っている」と聞いた。

同業他社で働く知人も、 提案書のたたき台や調査の整理に生成AIを使っているという。

一方、自分の会社では同じような作業を今も人が一から行っている。

気になっているのは、 AIが使えないことだけではない。

競合が仕事の進め方を変えていく中で、 この会社はこのままで大丈夫なのか。

そして、この環境で働き続けることは、 自分にとってどうなのか。

「AI禁止」をきっかけに、 会社と自分のこれからが少し気になり始めたケースです。

このケースで見るポイント

01

競合がAIで時短する中、
会社の競争力はどうなる?

02

AIなしで結果を出す経験は、
自分の実力になっている?

03

AIを使える会社なら、
本当に働きやすくなる?

このケースの3つの選択肢

今回の状況から考えられる選択肢は、大きく3つあります。

01

今の会社で、AIなしでも通用する力を伸ばす

AIを使えない環境をすぐにマイナスと考えず、 自分で調べ、考え、整理し、形にする力を伸ばします。

02

AI禁止の理由と、今後の方針を確認する

なぜ禁止しているのか。 今後、安全な形で導入する予定があるのか。 「禁止」という結果だけでなく、会社の考え方を確認します。

03

AI活用が進んでいる会社も外で見てみる

すぐに転職するのではなく、 AIを活用する会社では仕事や求められる能力がどう変わっているのかを確認します。

「AI禁止」だけなら、そこまで問題ではないかもしれない

会社が生成AIの利用に慎重になることには、理由があります。

顧客情報、社内の機密情報、未公開の数字、契約に関する情報など、 業務では外部に出せない情報を扱うことがあります。

また、生成AIが出した内容が必ず正しいとは限りません。

仕事で利用する以上、 最終的には人が内容を確認する必要があります。

そのため、 「安全な利用方法が整うまでは使わない」 という判断自体を、単純に遅れているとは言い切れません。

今回気になるのは、 禁止されていることそのものより、その先です。

  • なぜ禁止しているのか
  • どこまでをリスクと考えているのか
  • 安全に使える環境を検討しているのか
  • 今後も業務利用を認める予定がないのか

同じ「AI禁止」でも、 会社が安全な導入方法を検討している場合と、 「よく分からないから使わない」で止まっている場合では意味が違います。

AIの利用可否だけではなく、 新しい技術や仕事の進め方を会社がどう判断するのか。

今回は、そこも見ておきたいポイントです。

競合がAIで時短している。会社の競争力は大丈夫?

競合がAIを使っているからといって、 それだけで自社が不利になるわけではありません。

AIを使って短時間で資料を作れても、 内容が悪ければ成果にはつながらない。

人が時間をかけて考えた提案の方が、 結果につながることもあります。

一方で、 同じ品質の仕事を競合がより短い時間で進められるなら、 話は少し変わります。

議事録をまとめる時間が減る。

調査結果を整理する時間が減る。

提案書のたたき台を作る時間が減る。

そこで生まれた時間を、 顧客への提案や企画を考える時間に使うこともできます。

こうした差が積み重なれば、 同じ人数でも仕事のスピードや量に差が出る可能性はあります。

ここで見るべきなのは、 「AIを使っているか」だけではなさそうです。

仕事をより良くするために、 新しい方法を試し、必要なら取り入れる会社なのか。

AIは、その姿勢が見えやすい一つの材料でもあります。

AIなしで結果を出しているなら、それも実力では?

一方で、 AIを使えない環境にも別の見方があります。

自分で文章を組み立てる。

自分で情報源を探す。

集めた情報を整理する。

仮説を立て、提案を作る。

こうした仕事をAIなしで完結させてきた経験は、 無駄になるものではありません。

むしろ、AIを使うようになったときにも、 出力された内容が妥当なのかを判断するための土台になります。

その意味では、 「AIを使えない会社にいるから成長できない」と 単純に考える必要もありません。

ただし、ここでは一つ切り分けたいことがあります。

AIなしで仕事をすることで、 考える力や企画する力が鍛えられているのか。

それとも、 本来なら短縮できる単純作業に時間を使っているだけなのか。

同じ「AIを使わない仕事」でも、 その中身によって得られるものは変わります。

AIを使える会社に行けば、仕事は楽になる?

AIを使える会社に移れば、 今より仕事が楽になる。

そう考えたくなることもあります。

たとえば、 1時間かかっていた作業が20分で終わるようになれば、 40分の余裕が生まれます。

ただ、その40分がそのまま余裕になるとは限りません。

「AIで速くできるなら、もう一本作れる」

「下書きが早くできるなら、もっと質を上げられる」

「単純作業が減った分、企画や判断に時間を使ってほしい」

と、求められる仕事の量や質が上がる可能性もあります。

新しいAIツールを自分で試し、 使い方を学び続けることまで仕事の一部になる会社も考えられます。

つまり、 AIを使える会社と、仕事が楽な会社は同じではありません。

AIによって仕事が減るのではなく、 仕事の密度が上がることもあります。

「AIを使いたいから転職する」と考えるなら、 その会社がAIを使って何を変えようとしているのかまで見ておきたいところです。

① 今の会社で、AIなしでも通用する力を伸ばす場合

一つ目は、 今の会社で働きながら、自分の基礎力を伸ばす方法です。

AIが使えないことを、 必ずしもマイナスだけで捉えません。

たとえば、

  • 自分で考えて文章を組み立てる力
  • 必要な情報を探し、整理する力
  • 仮説を立てる力
  • 相手に合わせて提案を作る力
  • ツールに頼らなくても仕事を完結させる力

こうした能力は、 将来AIを使うようになったとしても活かせます。

一方で、 AIで短縮できる可能性のある単純作業に 多くの時間を使っているのであれば、 その時間が本当に成長につながっているかは考える必要があります。

この選択が合いそうなのは

  • 今の仕事で基礎力が身についている実感がある
  • AI以外には会社への大きな不満がない
  • 現在の仕事で結果を出せている
  • 個人ではAIについて学んだり試したりできている

AIを使っていないことより、 AIを使わない時間で何が身についているかを見る。

そこに意味があるなら、 今の環境にも残る理由はあります。

② AI禁止の理由と、今後の方針を確認する場合

二つ目は、 会社がなぜAIを禁止しているのかを確認する方法です。

同じ「AI禁止」でも、 背景は会社によって違います。

顧客情報を扱うため慎重になっている。

安全な社内環境を準備している。

法人向けのAIサービスを比較している。

利用ガイドラインを作っている途中。

そうした状況なら、 現時点では禁止でも、 会社として何も考えていないわけではありません。

一方で、 「何となく危なそうだから禁止」 のまま検討もされていないのであれば、 AI以外の部分も含めて会社の姿勢が気になってきます。

新しい技術が出てきたときに、 リスクとメリットを調べて判断する会社なのか。

それとも、 分からないものはとりあえず遠ざける会社なのか。

今回確認したいのは、 AIの利用可否だけではなく、その判断の仕方です。

この選択が合いそうなのは

  • AI以外の条件には大きな不満がない
  • 会社の将来性が少し気になり始めている
  • 社内で業務改善を提案できる余地がある
  • AI禁止の背景や今後の予定をまだ知らない

「禁止されている」という結果だけでは、 会社がAIをどう考えているのかまでは分かりません。

転職を考える前に、 まず会社の判断材料を確認する方法もあります。

③ AI活用が進んでいる会社も外で見てみる場合

三つ目は、 AI活用が進んでいる会社を外から見てみる方法です。

ここでの「外を見る」は、 すぐに今の会社を辞めることではありません。

求人情報や企業の採用情報を見る。

転職サービスで他社の働き方を調べる。

同業で働く人から話を聞く。

その中で、 AIを活用している会社では仕事がどう変わっているのかを確認します。

  • どんな業務にAIを使っているのか
  • AI導入によって仕事量はどう変わったのか
  • 人にはどんな能力が求められているのか
  • 新しいツールの習得がどの程度求められるのか

外を見た結果、 AIを積極的に使う環境の方が自分に合っていると感じるかもしれません。

逆に、 求められるスピードや仕事量まで確認すると、 今の環境の方が合っていると分かる可能性もあります。

比較することで、 「AIを使える会社に行きたい」という漠然とした希望を、 具体的な働き方の違いとして考えられるようになります。

この選択が合いそうなのは

  • 今の会社の仕事の進め方に違和感が強くなっている
  • AIを活用した働き方を実際に経験してみたい
  • 競合との差が広がっていると感じる
  • 今の環境で身につく力が外でも通用するのか確認したい

AIを使える会社が、自分にとって働きやすい会社とは限りません。

外を見るなら、 AIの有無ではなく「AIによって仕事がどう変わっているか」まで比較したいところです。

3つの選択肢を並べてみる

選択肢 得られるもの 気をつけたいこと
AIなしで基礎力を伸ばす 自分で考え、調べ、仕事を組み立てる力を伸ばせる 単純作業に時間を使っているだけになっていないか
会社の方針を確認する AI禁止の背景や、会社が新しい技術をどう判断しているかが分かる 確認しても導入予定がない場合はある
AI活用企業を外で見る 他社の仕事の進め方や、求められる能力を比較できる AIが使えるから仕事が楽になるとは限らない

このケースなら、まず何から確認する?

このケースでは、 「AI禁止だから転職する」と最初から決める必要はなさそうです。

逆に、 「AIなんてなくても仕事はできる」で終わらせるのも少し早そうです。

まず確認したいのは、次の3つです。

  1. 今の会社がAIを禁止している理由
  2. 今後、安全な形で導入する予定や検討があるのか
  3. AIを使わない今の環境で、自分に何が身についているのか

そのうえで、 外の会社ではAIをどのように使っているのかも確認してみます。

そこで初めて、 今の会社が慎重に進めているだけなのか、 新しい仕事の進め方そのものに消極的なのかが見えてきます。

同時に、 自分がAIを使える環境へ移りたいのか、 今の環境で基礎力を伸ばしたいのかも考えやすくなります。

AIを使えるかどうかだけで、 残る会社や転職先を決める必要はありません。

ただ、 新しい道具を会社がどう扱うのか。

そして、 その環境で自分の仕事がどう変わっていくのか。

そこは、これから働き続ける場所を考える一つの判断材料になります。

AIを使える会社が正解とは限らない。見るべきなのは、仕事がどう変わるか。

生成AIを使っている会社が、 必ず競争力のある会社とは限りません。

AIを使っていない会社が、 必ず遅れているとも限りません。

AIなしで成果を出してきた経験が、 自分の基礎力になっていることもあります。

一方で、 競合が同じ仕事をより短い時間で進めているのであれば、 会社がその変化をどう捉えているのかは確認したいところです。

そして、AIを使える会社に移ったとしても、 仕事が楽になるとは限りません。

速くできるようになった分、 より多く、より速く、より高い成果を求められる可能性もあります。

だから今回見るべきなのは、 「AIを使える会社かどうか」だけではありません。

今の会社は、新しい仕事のやり方をどう判断しているのか。

自分は、どんな環境でどんな力を伸ばしたいのか。

AIを使うことで、 自分の仕事はどう変わってほしいのか。

そこまで確認してから、 今の会社で続けるか、社内の変化を待つか、外を見るかを考えても遅くありません。

このケースに近い判断材料

これから身につけるスキルを考えたい スキルアップを見る → 今の会社で働き続ける将来を考えたい キャリア・将来を見る → 今の経験が外でどう見られるか知りたい 市場価値を見る → 転職以外の選択肢も比べたい 選択肢を調べる →

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