NISAとは?仕組み・メリット・リスクから「やる・やらない」までわかりやすく解説

「NISAを始めた方がいい」

「NISAは早く始めた方が得」

「年間360万円の枠を使える」

そんな言葉を見かける機会は増えました。

一方で、

そもそもNISAとは何なのか。
なぜ税金がかからなくなるのか。
何を買う制度なのか。
損をすることはあるのか。
本当に自分も始めた方がいいのか。

ここが曖昧なまま、

「みんなやっているから」

という理由だけで始める必要はありません。

NISAは、うまく使えば資産形成に役立つ大きな税制優遇制度です。

ただし、

NISAを使えばお金が増えるわけでも、損をしなくなるわけでもありません。

この記事では、NISAの基本的な仕組みから、つみたて投資枠・成長投資枠、1,800万円の非課税保有限度額、売却した場合の扱い、元本割れなどのリスク、損をした場合の注意点まで順番に整理します。

そのうえで、

「余裕があるなら始める」
「今はまだやらない」
「投資そのものをしない」

という選択まで考えていきます。

※制度・税制に関する記載は2026年9月時点の公的情報をもとに整理しています。制度改正や商品ごとの条件については、利用時に最新情報を確認してください。

この記事の結論

NISAは、投資商品ではありません。

株式や投資信託などへの投資で得た利益を、一定の範囲で非課税にできる制度です。

2026年現在のNISAでは、

  • つみたて投資枠は年間120万円
  • 成長投資枠は年間240万円
  • 両方を合わせると年間最大360万円
  • 非課税で保有できる総額は最大1,800万円
  • そのうち成長投資枠は最大1,200万円
  • 非課税保有期間は無期限

となっています。

ただし、これは、

「年間360万円投資した方がいい」

という意味ではありません。

NISAはあくまで、投資をする人が使える税制上の仕組みです。

生活費や近いうちに使うお金まで投資する必要はありません。

制度を理解したうえで、

余裕資金があり、値下がりする可能性も受け入れられるなら使う。

まだその段階ではないなら、今は使わない。

どちらも選択肢です。

  1. NISAとは?まず100万円が120万円になった場合で考える
  2. NISAを使えば100万円が120万円になるわけではない
  3. そもそも、なぜ投資の利益に税金がかかる?
  4. NISAは「非課税になる投資用の箱」と考えると分かりやすい
  5. 2026年現在のNISA制度を一覧で確認する
  6. つみたて投資枠とは?
  7. 成長投資枠とは?
  8. つみたて投資枠と成長投資枠は両方使わないといけない?
  9. 1,800万円は「利益が1,800万円まで」という意味ではない
  10. 1,800万円は「一生に一度しか使えない枠」でもない
  11. 売ったら、その年にすぐ枠を使い直せる?
  12. 年間360万円の枠は使い切らなくてもいい
  13. NISAでは何を買う?まず「株」と「投資信託」の違いを知る
  14. 「NISAを始める」と「何を買うか」は別の判断
  15. NISAのメリットは何?
  16. 一方で、NISAにはどんなリスクがある?
  17. NISAには元本保証がない
  18. NISAで損をした場合には、税制上の弱点もある
  19. 配当金なら何でも自動的に非課税になる?
  20. NISAなら手数料も全部無料になる?
  21. NISA口座は誰でも作れる?
  22. 銀行と証券会社、どこでNISAを作る?
  23. NISAは途中で売ってもいい?
  24. 貯金とNISAは、どちらか一方を選ぶものではない
  25. 投資する前に「使ってはいけないお金」を分ける
  26. 「余裕があったらNISA」は悪い考え方ではない
  27. NISAを始めることを検討しやすい人
  28. 今はNISAを始めない判断もある
  29. 「NISAをやらない=損」とは限らない
  30. NISAとiDeCoは何が違う?
  31. NISAを始めるなら、何からすればいい?
  32. 月いくらから始めればいい?
  33. NISAでは一括投資と積立、どちらがいい?
  34. NISAを始めたら毎日値段を確認した方がいい?
  35. NISAに「絶対に損しない商品」はある?
  36. 2027年からNISAはどう変わる?
  37. 2023年までの旧NISAを持っている場合は?
  38. NISAについてよくある疑問
  39. NISAを始めるか迷ったら、この順番で考える
  40. NISAは「やる・やらない」を競う制度ではない
  41. まとめ|NISAを理解したうえで、自分で選ぶ
  42. あわせて確認したい判断材料
  43. NISAは、始めることがゴールではない。

NISAとは?まず100万円が120万円になった場合で考える

NISAを理解するには、

最初に「NISAを使わなかった場合」と比べると分かりやすくなります。

たとえば、

100万円で買った上場株式などの金融商品が120万円になり、売却したとします。

元の100万円に対して、

20万円増えています。

この20万円が利益です。

通常の課税口座で上場株式等の売却益が出た場合、原則として20.315%の税金がかかります。

通常の課税口座 NISA
購入額 100万円 100万円
売却額 120万円 120万円
利益 20万円 20万円
利益にかかる税金 約4万630円 0円
税引き後の利益 約15万9,370円 20万円

20万円の利益に20.315%をかけると、

税金は約4万630円です。

そのため、通常の課税口座では、税引き後の利益は約15万9,370円になります。

一方、

NISA口座で対象商品を購入し、同じ20万円の売却益が出た場合、その利益は非課税です。

20万円がそのまま利益として残ります。

これがNISAの基本です。

NISAは「お金を増やす商品」ではなく、

「投資で利益が出たときに、その利益にかかる税金を一定の範囲で非課税にする制度」

です。

NISAを使えば100万円が120万円になるわけではない

ここは、NISAを考えるうえで最も重要な部分です。

先ほど、

100万円が120万円になった例を出しました。

でも、

NISAを利用したから120万円になったわけではありません。

買った金融商品の価格が上がったから120万円になっただけです。

反対に、

100万円で購入したものが80万円になることもあります。

起きたこと NISAがしてくれること
100万円→120万円 20万円の利益にかかる日本の税金を非課税にする
100万円→100万円 利益がないため、非課税にする利益もない
100万円→80万円 20万円の損失を補償してくれるわけではない

つまり、

NISAがなくしてくれるのは、

「投資で利益が出た場合にかかる税金」

です。

「投資で損をする可能性」

をなくす制度ではありません。

そもそも、なぜ投資の利益に税金がかかる?

株式や投資信託などへ投資すると、

主に、

  • 買った価格より高く売れたときの利益
  • 株式の配当金
  • 投資信託の分配金

などから利益を得ることがあります。

通常、こうした利益には税金がかかります。

上場株式等の譲渡益では、現在、

  • 所得税・復興特別所得税:15.315%
  • 住民税:5%

を合わせた20.315%が基本となります。

NISAでは、

一定の条件と投資枠の中で、この売却益や配当・分配金などを非課税にします。

NISAは「非課税になる投資用の箱」と考えると分かりやすい

NISAそのものを買うわけではありません。

イメージとしては、

NISAという「税金が優遇される箱」を作り、

その箱の中で、

  • 投資信託
  • 上場株式
  • ETF
  • REIT

などの対象商品を買います。

その箱の中で利益が出れば、

一定の範囲で非課税になります。

そのため、

「NISAに投資する」

というより、

「NISA口座を使って投資する」

と考えた方が制度の仕組みを理解しやすくなります。

2026年現在のNISA制度を一覧で確認する

現在のNISAには、

「つみたて投資枠」

と、

「成長投資枠」

の2つがあります。

つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
年間合計 併用して最大360万円
非課税保有限度額 合計1,800万円
成長投資枠の総枠 - 1,800万円のうち最大1,200万円
非課税保有期間 無期限 無期限
制度の期間 恒久化 恒久化
主な対象商品 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託など 上場株式・投資信託など

現在の成人向けNISAでは、

つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を同じ年に併用できます。

そのため、

年間では最大360万円まで投資できます。

ただし、

この360万円は「投資すべき金額」ではありません。

制度上、

「1年間にここまでNISAで新しく投資できます」

という上限です。

つみたて投資枠とは?

つみたて投資枠は、

長期・積立・分散投資に適したものとして一定の基準を満たした投資信託などを対象とする枠です。

年間投資枠は120万円です。

月額に単純換算すると、

毎月10万円を12か月積み立てると年間120万円になります。

ただし、

毎月10万円投資しなければならないわけではありません。

月1万円なら年間12万円。

月3万円なら年間36万円。

月5万円なら年間60万円。

自分が投資に回せる金額の範囲で利用できます。

対象となる投資信託などは、金融庁へ届け出られた一定の商品に限定されています。

そのため、

世の中に存在するすべての投資信託をつみたて投資枠で購入できるわけではありません。

成長投資枠とは?

成長投資枠では、

つみたて投資枠より広い範囲の商品へ投資できます。

年間投資枠は240万円です。

対象には、

  • 上場株式
  • ETF
  • REIT
  • 一定の投資信託

などがあります。

ただし、

成長投資枠でもすべての商品を購入できるわけではありません。

整理・監理銘柄や、一部の投資信託などは対象から除かれています。

また、

「成長投資枠」という名前ですが、

個別株を買わなければならない制度ではありません。

成長投資枠で投資信託を購入することもできます。

つみたて投資枠と成長投資枠は両方使わないといけない?

両方使う必要はありません。

つみたて投資枠だけを使うこともできます。

反対に、

つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを利用することもできます。

ただし、

成長投資枠だけで利用できる非課税保有限度額は最大1,200万円です。

一方、

つみたて投資枠だけを使って、時間をかけて1,800万円の非課税保有限度額を使うこともできます。

「NISAを始める=2つの枠を最大まで使う」

ではありません。

どちらの枠を、どのくらい使うかも選べます。

1,800万円は「利益が1,800万円まで」という意味ではない

NISAについて、

「1,800万円まで非課税」

という説明を見かけます。

ここも少し注意が必要です。

1,800万円は、

「利益が1,800万円になるまで非課税」

という意味ではありません。

NISAで保有できる商品の取得金額、

つまり、

買ったときの金額を基準に管理される非課税保有限度額です。

たとえば、

NISAで100万円分の商品を購入したとします。

その後、

その商品が300万円まで値上がりしたとしても、

非課税保有限度額として使っているのは、取得金額である100万円分です。

評価額が上がったからといって、

追加で200万円分の枠を使ったことにはなりません。

1,800万円は「一生に一度しか使えない枠」でもない

現在のNISAでは、

保有している商品を売却すると、

その商品の取得金額分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。

たとえば、

100万円で購入した商品が150万円になり、

150万円で売ったとします。

翌年以降に復活する非課税保有限度額は、

150万円ではありません。

取得金額である100万円分です。

金額
購入時 100万円
売却時 150万円
利益 50万円
翌年以降に再利用できる総枠 100万円分

反対に、

100万円で買った商品を80万円で売った場合でも、

再利用できる非課税保有限度額は100万円分です。

NISAの総枠は、

現在の時価ではなく、

購入したときの金額で管理されるからです。

売ったら、その年にすぐ枠を使い直せる?

ここも混同しやすいポイントです。

売却によって再利用できるようになるのは、

1,800万円の非課税保有限度額です。

再利用できるのは翌年以降です。

その年の年間投資枠が、その場で復活するわけではありません。

たとえば、

今年すでに年間投資枠を使ったあとに商品を売却しても、

売却した分だけ同じ年の年間投資枠が追加される仕組みではありません。

「年間投資枠」

と、

「非課税保有限度額」

は別のものとして考える必要があります。

年間360万円の枠は使い切らなくてもいい

NISAについて調べていると、

「年間360万円」

という数字が目につきます。

ただし、

年間360万円は目標額ではありません。

つみたて投資枠と成長投資枠を最大まで使った場合の上限です。

年間12万円でも、

年間36万円でも、

年間100万円でも、

NISAを利用できます。

使わなかった枠を埋めるために、

  • 生活費を削る
  • 緊急時の現金を減らす
  • 数年以内に使う予定のお金を投資する

必要はありません。

NISAの枠に家計を合わせるのではなく、

家計に合わせてNISAを使う方が自然です。

NISAでは何を買う?まず「株」と「投資信託」の違いを知る

NISAという制度を理解したら、

次に考えるのは、

「その中で何を買うか」

です。

代表的な選択肢として、

株式と投資信託があります。

株式とは

株式は、

企業が発行する株を購入するものです。

たとえば特定の上場企業の株式を購入すると、

その企業の業績や将来への期待、景気、需給などによって価格が変動します。

値上がりしたところで売却すれば利益になる可能性があります。

企業によっては配当金を受け取れる場合もあります。

一方で、

特定の会社へ投資するため、

その会社の業績が悪化すれば株価が大きく下がることもあります。

投資信託とは

投資信託は、

多くの投資家から集めたお金をまとめて、運用会社が株式や債券などへ投資する金融商品です。

商品によっては、

1つの投資信託を買うだけで、

国内外の多くの企業や資産へ分散して投資できます。

ただし、

投資信託だから必ず安全という意味ではありません。

中に何が含まれているかによって、

値動きやリスクは変わります。

「NISAを始める」と「何を買うか」は別の判断

ここは分けて考える必要があります。

NISAを利用することを決めても、

どの商品を買うかまでは決まりません。

たとえば、

  • 日本の個別株を買う
  • 海外株を中心とした投資信託を買う
  • 国内外へ広く分散する投資信託を買う
  • 株式以外の資産も含む投資信託を買う

では、

期待できる値動きも、抱えるリスクも違います。

つまり、

「NISAはいい制度か」

と、

「この投資商品を買うべきか」

は別の問題です。

NISAのメリットは何?

NISAの大きなメリットは、

投資で得た利益を非課税にできることです。

特に長期間投資を続けて利益が大きくなった場合、

通常の課税口座との税額差も大きくなる可能性があります。

たとえば、

利益が100万円出た場合を単純化して考えると、

通常の課税口座では20.315%なら約20万3,150円が税金になります。

NISAの対象となる利益なら、

この日本国内の税負担が原則としてなくなります。

また、

  • 非課税保有期間が無期限
  • 制度自体が恒久化されている
  • 商品を売却できる
  • 売却した商品の取得金額分は翌年以降に総枠を再利用できる

といった柔軟性があります。

一方で、NISAにはどんなリスクがある?

NISA自体の税制優遇は大きなメリットです。

しかし、

NISAで買う金融商品には投資リスクがあります。

主なものを整理すると、

  • 価格が下がる可能性がある
  • 購入価格を下回った状態で売る可能性がある
  • 企業の業績悪化などで株価が大きく下がる可能性がある
  • 海外資産では為替変動の影響を受ける場合がある
  • 投資信託にも運用コストがかかる
  • 必要なときに価格が下落している可能性がある

などがあります。

「NISAなら安全」

という理解は正しくありません。

NISAは投資の税金を優遇する制度です。

投資商品の価格変動をなくす制度ではありません。

NISAには元本保証がない

銀行預金と投資の大きな違いの一つです。

投資信託や株式などは、

購入した金額より値下がりする可能性があります。

100万円投資して、

市場の下落によって80万円になることもあります。

その状態で売却すれば、

20万円の損失が確定します。

長期で持っていれば必ず元に戻る、

という保証もありません。

そのため、

投資へ回すお金は、

「値下がりしたからすぐ取り戻さなければ生活できない」

ようなお金ではない方が考えやすくなります。

NISAで損をした場合には、税制上の弱点もある

NISAは利益が出たときには税金がかからない一方、

損失が出たときには注意点があります。

NISA口座で発生した損失は、

税務上はないものとして扱われます。

そのため、

通常の課税口座で出た利益と、

NISAで出た損失を相殺することはできません。

これを、

「損益通算ができない」

といいます。

たとえば課税口座で20万円利益、NISAで20万円損したら?

感覚的には、

+20万円と-20万円なので、

全体ではプラスマイナス0円です。

しかし、

NISAの20万円の損失を、課税口座の20万円の利益と相殺することはできません。

課税口座の20万円の利益については、

原則としてその利益に応じた税金が発生します。

また、

NISAで発生した損失を翌年以降へ繰り越して控除することもできません。

利益が出たときだけを見るとNISAは有利ですが、

損をした場合の税務上の扱いまで含めて理解しておく必要があります。

配当金なら何でも自動的に非課税になる?

上場株式やETF、REITなどの配当金・分配金には、

受け取り方にも注意が必要な場合があります。

国内上場株式などの配当金をNISAで非課税として受け取るには、

証券会社の口座で配当を受け取る「株式数比例配分方式」など、必要な受取方法を選択する必要があります。

銀行口座で直接受け取るなど、

受取方法によってはNISA口座で保有する株式の配当であっても、非課税にならない場合があります。

個別株やETFなどで配当を受け取りたい場合は、

口座開設後に配当金の受取方法も確認しておく必要があります。

NISAなら手数料も全部無料になる?

NISAが非課税にするのは、

対象となる投資利益に対する税金です。

投資にかかるすべての費用がなくなるわけではありません。

商品や金融機関によっては、

  • 売買にかかる手数料
  • 投資信託の信託報酬
  • その他の商品ごとの費用

などが発生する場合があります。

特に投資信託では、

長期間保有するほど継続的なコストの違いが積み重なります。

「NISA対象だから」

だけではなく、

商品自体の手数料や運用方針も確認します。

NISA口座は誰でも作れる?

2026年現在、

日本国内に住む18歳以上の人は、一定の要件のもとNISA口座を開設できます。

NISA口座は、

原則として1人1口座です。

銀行や証券会社などの金融機関で開設します。

また、

つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うことはできません。

同じ年は1つの金融機関のNISA口座で利用します。

金融機関は一定の手続きにより年単位で変更できます。

銀行と証券会社、どこでNISAを作る?

NISA口座は金融機関によって取り扱う商品が異なります。

たとえば、

個別株まで購入したいのか。

投資信託だけでいいのか。

積立設定をどのようにしたいのか。

手数料はどうなっているのか。

利用できる商品やサービスを確認して選びます。

NISAは原則1人1口座なので、

「とりあえずどこでもいい」

で作るより、

自分が使いたい商品を扱っているかを先に確認した方が分かりやすいでしょう。

NISAは途中で売ってもいい?

NISAで買った商品は、

必要に応じて売却できます。

老後まで必ず持ち続けなければならない制度ではありません。

ここは、

原則として60歳まで引き出せないiDeCoとの大きな違いです。

ただし、

「売ることができる」

ことと、

「いつ売っても損をしない」

ことは別です。

たとえば、

100万円投資していたものが、

急な市場下落で70万円になっているときにお金が必要になれば、

その時点で売却せざるを得ない可能性があります。

だからこそ、

近いうちに必要になるお金まで投資へ回さないことが重要になります。

貯金とNISAは、どちらか一方を選ぶものではない

「貯金するくらいならNISA」

「投資は怖いから全部預金」

の二択で考える必要はありません。

現金と投資では、

役割が違います。

預貯金 NISAでの投資
主な役割 近い将来使うお金・生活を守るお金 中長期の資産形成
値動き 基本的に小さい 商品によって上下する
元本割れ 通常の預金では一定の保護制度あり 起こる可能性がある
必要時の使いやすさ 高い 売却時の価格に左右される
利益への税制 預金利息には原則課税 NISA対象の運用益は非課税

生活を守るための現金を持ちながら、

当面使わないお金の一部を投資に回す、

という使い分けもできます。

投資する前に「使ってはいけないお金」を分ける

NISAを始める前に、

まず投資へ回さないお金を考えます。

毎日の生活に必要なお金

  • 家賃
  • 食費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 税金
  • 保険料
  • ローンなどの支払い

こうした生活費まで投資へ回すと、

相場が下落していても生活のために売却しなければならなくなる可能性があります。

近い将来使う予定のお金

たとえば、

  • 引っ越し
  • 結婚
  • 車の購入
  • 住宅購入
  • 教育費
  • 旅行
  • 家電の買い替え

など、

数年以内に使う可能性が高いお金です。

使う時期が決まっているお金ほど、

必要な時期に値下がりしていると困ります。

突然の出費に備えるお金

病気やけが。

失業。

家電の故障。

急な引っ越し。

予定外の支出は起こります。

こうしたときのために現金を確保しておく考え方があります。

このような資金は、

一般に「生活防衛資金」と呼ばれることがあります。

「余裕があったらNISA」は悪い考え方ではない

NISAについては、

「一日でも早く始めるべき」

という話もあります。

長期間投資することで時間を活用しやすくなる、という考え方には理由があります。

ただし、

それは、

投資に回せるお金があることが前提です。

生活費を削る。

突然の出費に備える現金まで減らす。

近いうちに使う予定のお金まで投資する。

そこまでしてNISAの枠を使う必要はありません。

生活に必要なお金を残したうえで、

当面使う予定のない余裕資金がある。

その一部を資産形成へ回したい。

そこでNISAを使う。

という順番でも十分です。

NISAを始めることを検討しやすい人

たとえば、

  • 毎月の収支が黒字になっている
  • 急な出費へ対応できる現金がある
  • 数年間使う予定のないお金がある
  • 元本割れする可能性を理解している
  • 短期間で大きく儲けることを目的にしていない
  • 中長期で資産形成を考えている

という場合は、

NISAの税制優遇を利用することを検討しやすくなります。

ただし、

条件に当てはまるから必ず始めなければならないわけではありません。

今はNISAを始めない判断もある

反対に、

  • 毎月の家計が赤字
  • ほとんど貯金がない
  • 急な出費へ対応できる現金がない
  • 近いうちに使う予定のお金しかない
  • 借入の返済を優先したい
  • 元本割れすることを受け入れられない
  • 投資商品の仕組みがまだ理解できていない

という場合は、

今すぐNISAを始めない判断もあります。

NISA口座を使っていないから、

何か罰則があるわけではありません。

生活の土台を整えてから、

数か月後や数年後に考えることもできます。

「NISAをやらない=損」とは限らない

NISAは、

投資をするのであれば非常に大きな税制優遇です。

一方で、

投資をしなければ得られなかったはずの利益まで保証してくれる制度ではありません。

投資をした場合には、

資産が増える可能性と同時に、

減る可能性も受け入れる必要があります。

そのため、

制度を理解したうえで、

「今は現金を優先する」

「投資はしない」

と判断することもできます。

何となく怖くて何もしない状態と、

仕組みとリスクを理解したうえで使わないと決めることは、

同じではありません。

NISAとiDeCoは何が違う?

資産形成について調べていると、

NISAと一緒にiDeCoという言葉も出てきます。

どちらも税制上の優遇がありますが、

目的や仕組みは違います。

NISA iDeCo
主な目的 幅広い資産形成 老後の資産形成
運用益 非課税 制度内では非課税
掛金・投資額の所得控除 なし 掛金は原則として全額所得控除
途中で使う 商品を売却して利用できる 原則60歳まで受給できない
自由度 比較的高い 老後資金としての制約がある

NISAは、

投資した金額そのものが所得控除になる制度ではありません。

利益に対する税金が非課税になる制度です。

一方iDeCoでは、

掛金の所得控除など、NISAとは異なる税制優遇があります。

その代わり、

老後資金を目的とする制度のため、

原則として60歳までは自由に引き出せません。

NISAを始めるなら、何からすればいい?

大まかな流れは次のようになります。

  1. 生活費や近いうちに使うお金を確認する
  2. 投資に回せる金額を考える
  3. NISA口座を開設する金融機関を選ぶ
  4. NISA口座を申し込む
  5. つみたて投資枠・成長投資枠の使い方を決める
  6. 投資する商品を確認する
  7. 無理のない金額で購入・積立を始める
  8. 価格が動くことを前提に保有する

「NISA口座を作る」

と、

「投資商品を買う」

は別のステップです。

口座を開設したからといって、

すぐ年間360万円を投資する必要はありません。

月いくらから始めればいい?

これは、

年齢や年収だけで一律に決められるものではありません。

同じ年収500万円でも、

  • 家賃
  • 家族構成
  • 借入
  • 貯金額
  • 今後の大きな支出

によって、

投資へ回せる金額は変わります。

「平均はいくらか」

より、

投資した金額が一時的に大きく下がっても、

生活費として取り崩さなくて済むか。

という見方の方が重要です。

月1万円でも、

月3万円でも、

自分の家計にとって無理がない金額から考えられます。

NISAでは一括投資と積立、どちらがいい?

NISAでは、

毎月少しずつ買う方法も、

まとまった資金を投資する方法もあります。

積立には、

購入する時期を分散できるという特徴があります。

一方、

すでに長期間使う予定のないまとまった資金があり、

一括で投資するという判断もあります。

ただし、

一括投資なら直後に大きく値下がりする可能性があります。

積立なら必ず利益が出るわけでもありません。

どちらも、

価格変動をなくす方法ではありません。

資金の使う予定と、

値下がりへの心理的な受け止め方も含めて考えます。

NISAを始めたら毎日値段を確認した方がいい?

長期の資産形成を目的にする場合、

毎日の値動きだけで判断すると、

本来の目的を見失いやすくなります。

価格が上がる日もあれば、

大きく下がる時期もあります。

重要なのは、

「今日いくら増えたか」

だけではなく、

何のために投資しているのか。

いつ頃使う予定のお金なのか。

購入している商品はどのような資産へ投資しているのか。

という前提を確認することです。

NISAに「絶対に損しない商品」はある?

NISAで購入できる投資商品に、

将来の利益を保証する仕組みが付くわけではありません。

投資である以上、

価格が変動する商品では損失が出る可能性があります。

そのため、

「NISAだから安心」

「国の制度だから必ず増える」

と考えるのは避けた方がいいでしょう。

国が用意しているのは、

利益への税制優遇です。

どの商品を買い、

その商品がどのように値動きするかまで国が保証しているわけではありません。

2027年からNISAはどう変わる?

2026年度の税制改正により、

2027年1月以降は、つみたて投資枠の年齢要件が拡充されます。

0歳から17歳についても、

  • 年間投資枠:60万円
  • 非課税保有限度額:600万円

のつみたて投資枠が設けられることとなっています。

一方、

18歳以上の現在の基本的な枠は、

  • つみたて投資枠:年間120万円
  • 成長投資枠:年間240万円
  • 非課税保有限度額:合計1,800万円

です。

制度は今後も変更される可能性があるため、

実際に利用する際は最新条件を確認します。

2023年までの旧NISAを持っている場合は?

2023年までに利用されていた一般NISA・つみたてNISAと、

2024年からの現在のNISAは別枠で管理されています。

旧制度で購入した商品を、

2024年からのNISAへそのまま移すことはできません。

一方、

旧NISAの商品を現在のNISAを始めるために必ず売却する必要もありません。

旧制度で決められていた非課税期間中は、

その制度のルールに従って保有できます。

また、

旧NISAで保有している金額は、

現在のNISAの1,800万円の非課税保有限度額とは別枠です。

NISAについてよくある疑問

Q. NISAは貯金ですか?

違います。

NISAは投資による利益への税制優遇制度です。

NISA口座の中で投資信託や株式などを購入します。

Q. NISAを始めれば必ずお金は増えますか?

増える保証はありません。

購入した商品の値動きによっては元本割れする可能性があります。

Q. 年間360万円投資しないと損ですか?

360万円は年間投資枠の上限です。

使い切る義務はありません。

家計から無理なく投資できる金額を考えます。

Q. つみたて投資枠だけでも使えますか?

使えます。

つみたて投資枠だけで、時間をかけて1,800万円の非課税保有限度額を利用することもできます。

Q. 成長投資枠だけでも使えますか?

使えます。

ただし成長投資枠で保有できる総額は、1,800万円のうち最大1,200万円です。

Q. NISAの商品はいつでも売れますか?

NISAだから一定年齢まで売却できないという制限はありません。

ただし、実際の売却や現金化にかかる日数は商品によって異なります。

また、売却時の価格が購入時より下がっている可能性があります。

Q. 売ったら1,800万円の枠は戻りますか?

売却した商品の取得金額分について、

翌年以降に非課税保有限度額を再利用できます。

売却価格ではなく、取得金額が基準です。

Q. NISAで損をしたら税金が戻りますか?

NISAで発生した損失は、課税口座の利益との損益通算ができません。

翌年以降への繰越控除もできません。

Q. NISAなら確定申告はいりませんか?

NISA口座内で非課税となる売却益について、

非課税の適用を受けるために確定申告をする必要は基本的にありません。

ただし、

NISA以外の所得や取引によって確定申告が必要になるケースは別です。

Q. NISAを始めるのが遅いと意味がない?

年齢だけで意味がなくなる制度ではありません。

重要なのは、

そのお金をいつ使うのか。

どの程度の値動きを受け入れられるのか。

何のために資産形成するのか。

という点です。

Q. NISAを始めないと将来困りますか?

NISAの利用は義務ではありません。

預貯金、年金、保険、その他の資産など、

将来のお金を準備する方法は一つではありません。

NISAの仕組みとリスクを理解したうえで、

利用するかどうかを決めます。

NISAを始めるか迷ったら、この順番で考える

制度を全部理解しても、

最後に残るのは、

「自分はやった方がいいのか」

という問題です。

その場合は、

次の順番で考えると整理しやすくなります。

確認すること 考え方
1. 毎月の生活は黒字か 赤字なら、まず家計を立て直す
2. 急な支出に対応できる現金はあるか なければ、まず現金の貯蓄を考える
3. 数年使わなくても困らないお金があるか なければ、無理に投資しない
4. 元本割れする可能性を受け入れられるか 難しければ、預貯金を優先する判断もある
5. 中長期で資産形成したいか したいなら、NISAの利用を検討できる

この順番なら、

「みんながNISAをやっているから」

ではなく、

自分の家計と目的から判断できます。

NISAは「やる・やらない」を競う制度ではない

NISAには大きな税制上のメリットがあります。

そのため、

投資をするのであれば、

NISAを利用する意味は考えやすい制度です。

ただし、

NISAを利用している人が、

利用していない人より正しいわけではありません。

年間360万円使う人が、

月1万円だけ投資する人より正しいわけでもありません。

投資へ回せる金額は、

収入だけでなく、

生活費、家族構成、貯金、今後の予定によって変わります。

NISAは、

自分の生活を制度に合わせるものではありません。

自分の資産形成に、必要なら制度を使うものです。

まとめ|NISAを理解したうえで、自分で選ぶ

NISAは、

株式や投資信託などへの投資で得た利益を、

一定の範囲で非課税にできる制度です。

100万円で購入した商品が120万円になった場合、

通常の課税口座なら20万円の利益に原則20.315%の税金がかかります。

NISAなら、

対象となる売却益は非課税になります。

これは大きなメリットです。

一方で、

NISAを使えば100万円が120万円になるわけではありません。

80万円になることもあります。

NISAがなくしてくれるのは、

利益にかかる税金です。

投資で損をする可能性ではありません。

だからこそ、

まず生活を守るお金を残す。

近いうちに使うお金も残す。

そのうえで、

当面使わないお金があり、

値下がりする可能性も理解して、

それでも中長期の資産形成へ回したいならNISAを使う。

まだ余裕がないなら、

今は使わない。

投資そのものをしないと決めてもいい。

大切なのは、

「NISAをやっているか」

ではなく、

制度とリスクを理解したうえで、自分のお金をどうするか選ぶことです。

あわせて確認したい判断材料

NISAの年間360万円は使い切った方がいい? 「最速で枠を埋める」に振り回されなくていい理由を見る → 投資の前に、まず貯金額を考えたい 30代はいくら貯めればいい?貯蓄の目安を見る → そもそも資産形成をどう考えればいい? 資産形成を始める前に確認したいことを見る → 投資だけでなく、将来のお金全体を考えたい 将来のお金を整理する方法を見る →

NISAは、始めることがゴールではない。

NISAは、投資をする人にとって大きな税制優遇があります。

でも、制度の枠を使うために生活を苦しくする必要はありません。

生活を守るお金を残す。

投資できる余裕がある。

元本割れする可能性も理解している。

そのうえで資産形成をしたいなら使う。

まだその段階ではないなら、今は使わない。

NISAを理解したうえで選んだなら、どちらも一つの判断です。

タイトルとURLをコピーしました