「家賃は手取りの3分の1まで」
そんな目安を聞いたことがあるかもしれません。
手取り30万円なら10万円。
手取り24万円なら8万円。
計算は簡単です。
でも、
同じ手取り30万円でも、
毎日出社する人と、ほぼ在宅勤務の人。
一人暮らしの人と、家族がいる人。
職場まで徒歩10分の人と、片道1時間半かかる人。
同じ家賃10万円でも、その意味はかなり違います。
家賃は、
単純に「手取りの何%なら正解」と決められる支出ではありません。
その家賃を払うことで、
何を得ているのか。
逆に、
家賃を下げることで何を失うのか。
そこまで考えて初めて、
「今の家賃は高いのか」
を判断しやすくなります。
この記事の結論
家賃を考えるとき、
「手取りの何%か」
は一つの目安になります。
ただし、
割合だけで決めるのはおすすめしません。
見るべきなのは、
- 家賃を払ったあと、毎月いくら残るか
- 貯金や将来の支出まで回せるか
- その家によって何を得ているか
- 家賃を下げた場合に何を失うか
- 部屋の広さを本当に使っているか
です。
家賃は、
単なる「削るべき固定費」ではありません。
時間、快適さ、安全性、働きやすさを買っている場合もあります。
一方で、
使っていない部屋の広さや、ほとんど使わない物を置くスペースに毎月お金を払っている場合もあります。
- 「家賃は手取りの3分の1」は絶対ルールではない
- 同じ家賃10万円でも、負担感はまったく違う
- 家賃を考えるなら「残るお金」を見る
- 家賃は「場所代」だけを払っているわけではない
- 家賃を2万円下げて通勤時間が増えるなら、本当に節約?
- 家賃は「時間を買う固定費」になることもある
- 在宅勤務が多いなら、家にお金をかける意味も変わる
- 逆に、家にほとんどいないなら広さへ払う意味は小さくなる
- 「物にも家賃がかかっている」と考える
- 家賃を下げるために狭い部屋へ住むなら、物も減らす
- もちろん、何でも捨てればいいわけではない
- 広い部屋が必要なのか、物が多いから広い部屋が必要なのか
- 家賃を下げるなら、引っ越し費用まで計算する
- 更新のタイミングは家賃を見直しやすい
- 家賃を下げた方がよさそうなケース
- 少し高い家賃でも払う意味があるケース
- 「駅近だから高い」は、その駅近を使っている?
- 「家賃を下げる=生活水準を下げる」とは限らない
- 家賃を判断するときの6つの質問
- 家賃を見直す前に、一度部屋を見回してみる
- あわせて確認したい判断材料
- 家賃は、「安いか高いか」より「何に払っているか」。
「家賃は手取りの3分の1」は絶対ルールではない
家賃について調べると、
「手取りの25%」
「手取りの30%」
「3分の1まで」
といった目安を見かけます。
こうした数字は、
家賃が家計を圧迫していないかを確認する最初の目安としては便利です。
でも、
「30%だから問題ない」
「35%だから高すぎる」
と割合だけで判断するのは少し乱暴です。
なぜなら、
家賃以外の支出が人によって大きく違うからです。
同じ家賃10万円でも、負担感はまったく違う
たとえば、
手取り30万円で家賃10万円なら、
家賃比率は約33%です。
でも、
残り20万円の使い道によって、
家計の余裕は大きく変わります。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 手取り | 30万円 | 30万円 |
| 家賃 | 10万円 | 10万円 |
| 車 | なし | あり |
| ローン | なし | 月3万円 |
| 通信費 | 月5,000円 | 月1万5,000円 |
| 毎月の貯金 | できる | ほとんどできない |
家賃比率だけを見ると、
2人とも同じです。
でも、
家計全体ではかなり違います。
そのため、
家賃は「手取りに対して何%か」だけではなく、
「払ったあとにいくら残るか」
まで確認します。
家賃を考えるなら「残るお金」を見る
たとえば、
毎月の手取りが30万円。
家賃が10万円。
残りは20万円です。
そこから、
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 保険
- 日用品
- 交通費
- 交際費
- 趣味
- 貯金
- 投資
などを払います。
この状態で、
毎月ある程度のお金が残り、
急な出費にも対応できているなら、
家賃10万円が必ず高すぎるとは言えません。
一方、
給料日前になると毎月ほとんど残らない。
貯金もできない。
カード払いで翌月へ支払いを回している。
という状態なら、
家賃比率がそれほど高くなくても、家計全体を見直す必要があります。
家賃は「手取りの何%か」だけではなく、
「家賃を払ったあとでも、今の生活と将来のお金が回っているか」
で考えます。
家賃は「場所代」だけを払っているわけではない
家賃を考えるとき、
単純に、
「安ければ安いほどいい」
と考えたくなります。
でも、
家賃で買っているものは、
部屋そのものだけではありません。
たとえば、
- 通勤時間の短さ
- 駅までの距離
- 治安
- 静かさ
- 部屋の広さ
- 日当たり
- 在宅勤務しやすい環境
- スーパーや病院への近さ
- 職場や家族へのアクセス
なども含まれています。
つまり、
家賃には、
生活の便利さや時間に対して支払っている部分もあります。
家賃を2万円下げて通勤時間が増えるなら、本当に節約?
たとえば、
家賃10万円の部屋から、
家賃8万円の部屋へ引っ越すとします。
毎月2万円安くなります。
年間では24万円です。
数字だけを見ると、
かなり大きな節約です。
でも、
その結果、
通勤が片道30分増えたとします。
往復で1時間。
月20日出社なら、
毎月約20時間です。
年間なら約240時間。
24万円の家賃を節約する代わりに、
年間240時間を追加で通勤へ使うことになります。
単純に割れば、
1時間あたり1,000円です。
もちろん、
時間をそのまま金額に換算して結論を出せるわけではありません。
それでも、
「家賃が毎月2万円安くなる」
だけを見るより、
その代わりに何を失うのかまで考えた方が判断しやすくなります。
家賃は「時間を買う固定費」になることもある
職場の近くへ住むことで、
毎日の通勤時間を減らせる。
駅の近くに住むことで、
移動しやすくなる。
スーパーが近ければ、
買い物にかかる時間も減ります。
家賃が高い代わりに、
時間を買っていると考えられるケースがあります。
毎日の自由時間が1時間増えるなら、
その時間を、
- 睡眠
- 家族との時間
- 勉強
- 副業
- 運動
- 趣味
に使えます。
家賃だけを見て、
こうした価値をすべて0円として扱う必要はありません。
在宅勤務が多いなら、家にお金をかける意味も変わる
家にいる時間が長い人ほど、
住環境の影響を受けやすくなります。
たとえば、
在宅勤務が多い人が、
家賃を1万円下げるために仕事用スペースのない狭い部屋へ引っ越したとします。
毎月1万円は節約できます。
でも、
一日何時間も過ごす場所の快適さが下がります。
集中できない。
仕事と生活を分けにくい。
オンライン会議がしづらい。
そうなれば、
家賃差以上の不便を感じる可能性もあります。
家にいる時間が長い人ほど、
住居費を単なる固定費として削らない考え方もあります。
逆に、家にほとんどいないなら広さへ払う意味は小さくなる
反対のケースもあります。
毎日朝から夜まで外にいる。
休日もほとんど外出している。
家では寝る時間が中心。
それなのに、
広さや設備のために高い家賃を払っている。
この場合は、
「この部屋の何に毎月お金を払っているのか」
を一度考えてみてもいいでしょう。
使っていない広さ。
使っていない設備。
必要以上の立地。
そこへ毎月数万円払っている可能性があります。
「物にも家賃がかかっている」と考える
部屋の広さについて考えるとき、
見落としやすいのが、
持ち物です。
物を持つコストは、
買ったときの値段だけではありません。
置いておくためのスペースにも、
毎月お金を払っています。
都市部などでは、
部屋が数㎡広くなるだけでも家賃が変わることがあります。
その広くなった部分に、
年に1回しか使わない物。
何年も開けていない段ボール。
存在を忘れていた家具。
着なくなった服。
を置いているとします。
すると、
実質的には、
その物を保管するためのスペースに毎月家賃を払っている、
と考えることもできます。
「いつか使うかもしれない物を保管するために、毎月いくら家賃を払っているか」
という視点で部屋を見ると、
必要な広さの考え方が変わることがあります。
家賃を下げるために狭い部屋へ住むなら、物も減らす
家賃を抑える方法として、
今より狭い部屋を選ぶ方法があります。
固定費を下げる方法としては分かりやすい選択です。
ただし、
部屋だけ狭くして、
持ち物の量を以前のままにすると、
別のコストが発生することがあります。
たとえば、
- 収納家具を買い足す
- 外部のトランクルームを借りる
- 床や生活スペースが物で埋まる
- 必要な物を探す時間が増える
- 部屋が窮屈になり、また引っ越したくなる
といったことです。
家賃を下げた代わりに、
収納代やストレスが増えれば、
節約効果も小さくなります。
だから、
節約のために狭い部屋を選ぶなら、
「部屋の広さを減らす」
だけではなく、
「持つ物の量も減らす」
ところまでセットで考えた方が続きやすくなります。
もちろん、何でも捨てればいいわけではない
物を減らせば家賃を下げやすいからといって、
必要な物まで捨てる必要はありません。
たとえば、
- 仕事で使う道具
- 頻繁に使う趣味の道具
- 必要な衣類
- 家族との思い出の品
- 生活の満足度を大きく上げている物
など、
持っていること自体に価値がある物もあります。
考えたいのは、
「これは捨てられるか」
だけではありません。
「この物を置くための空間に、毎月お金を払う価値があるか」
です。
広い部屋が必要なのか、物が多いから広い部屋が必要なのか
似ているようで、
この2つは違います。
在宅勤務で仕事部屋が必要。
子どもの生活スペースが必要。
趣味で大きな道具を使う。
こうした場合は、
広さそのものに役割があります。
一方、
ほとんど使わない物が多いために、
狭い部屋へ移れないのであれば、
部屋を探す前に持ち物を整理する方法があります。
家賃を下げるためには、
不動産サイトを見るだけではなく、
家の中を見ることも有効です。
家賃を下げるなら、引っ越し費用まで計算する
家賃を下げれば、
翌月からその差額がすべて節約になるわけではありません。
引っ越しには、
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 引っ越し業者の費用
- 鍵交換費用
- 保証会社関連費用
- 家具・家電の買い替え
などがかかる場合があります。
たとえば、
家賃が月1万円安くなっても、
引っ越しに30万円かかれば、
単純計算で差額30か月分です。
そのため、
「家賃が安い物件を見つけた」
だけではなく、
引っ越し費用を何か月で回収できるのかまで見ると判断しやすくなります。
更新のタイミングは家賃を見直しやすい
家賃は、
スマホプランやサブスクのように、
思いついた日に簡単に変更できる固定費ではありません。
引っ越しには費用も手間もかかります。
そのため、
更新時期。
転職。
働き方の変化。
結婚。
家族構成の変化。
といった生活の節目で見直す方が現実的です。
家賃を下げた方がよさそうなケース
たとえば、
- 毎月ほとんど貯金できない
- 生活費をカード払いで先送りしている
- 家にほとんどいないのに広い部屋へ住んでいる
- 使っていない部屋やスペースが多い
- 立地の良さをほとんど利用していない
- 持ち物を整理すれば小さい部屋でも暮らせる
- 家賃が原因で他の必要な支出を削っている
という場合は、
住居費を見直す余地があります。
少し高い家賃でも払う意味があるケース
反対に、
- 職場へ近く、通勤時間を大きく減らせる
- 在宅勤務が多く、住環境が仕事に直結する
- 治安や静かさを重視している
- 家族の生活に必要な広さがある
- 家にいる時間が長い
- 家賃を払っても十分に貯金できている
のであれば、
少し高い家賃にも意味がある場合があります。
大切なのは、
高いか安いかではなく、
その差額で何を得ているかです。
「駅近だから高い」は、その駅近を使っている?
家賃の差には、
それなりの理由があります。
駅に近い。
築年数が浅い。
部屋が広い。
設備が充実している。
人気エリアにある。
問題は、
そのメリットを自分が使っているかです。
駅徒歩5分の部屋へ住んでいるのに、
ほぼ在宅勤務で週に1回しか電車へ乗らない。
それでも駅近に価値を感じるなら問題ありません。
でも、
何となく便利そうだから選んだだけなら、
その家賃差は見直せるかもしれません。
「家賃を下げる=生活水準を下げる」とは限らない
家賃を下げるというと、
我慢して不便な場所へ住むイメージがあるかもしれません。
でも、
使っていないものを減らす。
必要以上の広さをやめる。
利用していない設備を外す。
今の働き方に合う場所へ移る。
という方法なら、
生活の満足度をあまり下げずに家賃を下げられる場合があります。
削るべきなのは、
生活の満足度ではなく、
「お金を払っているのに使っていないもの」
かもしれません。
家賃を判断するときの6つの質問
| 質問 | 見るポイント |
|---|---|
| 1. 家賃を払ったあと、毎月お金は残る? | 家計全体が回っているか |
| 2. この家賃で何を買っている? | 立地・広さ・時間・快適さなど |
| 3. そのメリットを実際に使っている? | 使っていない価値へ払っていないか |
| 4. 家賃を下げると何を失う? | 通勤時間・快適さ・安全性など |
| 5. 物を減らせば小さい部屋でも暮らせる? | 物の保管スペースへ払っている家賃を考える |
| 6. 引っ越し費用を含めても得? | 何か月で費用を回収できるか |
家賃を見直す前に、一度部屋を見回してみる
不動産サイトを開く前に、
今の部屋を一度見回してみます。
使っていないスペースはあるか。
ほとんど使わない家具はあるか。
何年も開けていない収納はないか。
駅近のメリットを使っているか。
部屋の広さを生活や仕事に生かしているか。
そこを確認すると、
次に必要な家の条件が見えやすくなります。
家賃を見直すことは、
単に安い部屋を探すことではありません。
自分が住まいの何にお金を払いたいのかを整理することでもあります。
あわせて確認したい判断材料
家賃は、「安いか高いか」より「何に払っているか」。
家賃を下げれば、
毎月の固定費は減ります。
でも、
通勤時間が増える。
仕事がしづらくなる。
生活が不便になる。
それなら、
少し高い家賃にも意味があるかもしれません。
反対に、
ほとんど使わない広さや、
ほとんど使わない物を置くために毎月家賃を払っているなら、
そこは見直せるかもしれません。
家賃は、
空間に払うお金であり、
時間に払うお金でもあります。
「手取りの何%か」だけではなく、
その家賃で何を得ているのか。
それに毎月払い続ける価値があるのか。
そこから考えてみると、
自分に合った住居費が見えやすくなります。

